スピードをとるか、確実性をとるか、制限時間との勝負!
『SeeNa2』はステージクリアー型の3Dアクションゲームで、迷路の中に点在している猫の足跡とフラッグを制限時間内に回収することが目的となる。全部で8つのステージが用意されており、それぞれ設定された制限時間内にクリアできなければゲームオーバー。
各ステージはどれも特徴的な形状で、直線をいくつも組み合わせたようなステージもあれば、グルグルと渦巻き状になっているステージもあり、効率よくアイテムを回収するにはひと筆書きの要領で無駄なく迷路をまわらなくてはならない。とはいえ焦ってスピードを出せば出すほど慣性が働いて、コントロールが難しくなってしまう。ならばとスピードを落として堅実なプレイを心がけようとしても、シビアな時間制限が立ちはだかる。どこでスピードを出し、どこでブレーキをかけるのか、そのバランスを自分の中でうまく調整していかなければ、先のステージを拝むことすら叶わないのだ。
この程よく高めの難易度が絶妙で、今遊んでも普通にハマってしまい、古き良き1980年代~1990年代を思い出させてくれる。昨今のゲームはなんでもかんでもやさしくなり、最後の最後までヒントだらけのものも多く見受けられるが、逆に自分が上達することの楽しさを殺してしまっている感も否めない。ビジュアル面ばかりが進化して、面白さの本質が忘れかけられている中、Bio_100%の作品はオアシスのような存在にも見えてくる。
PC-9821のグラフィックを活かしつつも、スピード感は損なわせない
PC-9821は当時の上位機種であったとはいえ、3D空間を自在かつスムーズに動けるようにするのはやはり難しく、市販ソフトであっても多少のカクつきは我慢せざるを得なかった。そうした状況の中、『SeeNa2』のグラフィックにはPC-9821の特徴を活かした256色表示が用いられたが、現在のように3Dグラフィックボードが普及していなかったこともあり、必要な演算等は当然ながらCPUまかせ。普通に考えれば、ある程度重くなるのは仕方ないと思ってしまうところである。にも関わらず、『SeeNa2』はフルスクリーン表示でも十分プレイに耐えうるだけの速度を保ち、数多くのユーザーをよい意味で困惑させてくれた。
そしてたとえCPUパワーが足らずに重いと感じた場合でも、表示サイズを縮小することで速度を確保できるように設計されており、肝となるスピード感を損なうことなくプレイに没頭できた。ワイドな画面で迫力をとるもよし、多少タイトな画面にしてスピード感をとるもよし。遊ぶ人の趣味や環境に合わせてプレイ感を選択できるこの仕様は、今触れてみても素晴らしいの一言に尽きる。
語り継がれる伝説のPC-8801mkⅡSR版『SeeNa』
なぜタイトルに『2』というナンバーがついているのか、不思議に思った人もいるのではないだろうか。率先してこのサイトにアクセスして頂いたような方であればすでにご存知かと思われるが、たいにゃん氏がプログミングを担当した『SeeNa』(PC-8801mkⅡSR版)という作品が、1986年にシステムソフトから発売されていたのである。
基本的なシステムはもちろん『SeeNa2』と同様で、3Dの迷路を駆け抜けていくというもの。しかしながら、当時PC-8801mkⅡSRという機種でこの作品と肩を並べるレベルの高速3D描画を実現したソフトは他になく、PCゲーマーたちは皆計り知れない衝撃を受けた。なかにはこの作品に出会い、たいにゃん氏に憧れてゲーム業界に飛び込んだという人もいるぐらいなので、その影響力たるや、ひとりの人間の人生を左右するほど大きなものだったのだ。
Bio_100%からリリースされた『SeeNa2』は、この『SeeNa』をベースとして一部分をPC-9821用にリファインしたものとなっている。当時の最新機種で『SeeNa』を作ったらここまでやれるのだということを、たいにゃん氏自らが示してくれたものだ。
- この記事のトラックバックURL:
- http://bio100.jp/mt_manager/mt-tb.cgi/44