地面に激突したら即ゲームオーバーという、そのシビアさがたまらない
空中に浮いたコインをできるだけ素早く集めることが目的のアクションゲーム。自機はホバリングで上昇し、その状態から8方向に移動することが可能。高度を調整しながらステージ中のコインをすべて回収し、中央にあるポイントにうまく着陸できればクリアーとなる。
ただし着陸の際は一定以上速度を落とさないと、地面に激突して木っ端微塵。自機は通常3機あるという定番ルールなどどこへやら、切ないことにその時点で即ゲームオーバーである。いくら素早くコインを集めても、着陸に失敗したらすべてが水の泡となってしまうため、細かいホバリングを繰り返しながら徐々に高度を落としていくという繊細な操作が必要だ。
またステージは16まで用意されているが、途中から魔物や砲台、鉄球といった邪魔者が登場し、さらに難易度アップ。ミスなく最後まで到達するのは至難の業と言ってもよいだろう。暇つぶしとしてお手軽にプレイする分には問題ないが、全クリアーを目指すのであれば己の限界にチャレンジするつもりで立ち向かわなくてはならない。シンプルなルールのミニゲームと思わせておいて、ハマったらタダでは帰してくれない恐ろしい作品なのである。
『Camel-Zoo』の素材を利用して、Windowsタイトルの制作に着手
まだGame Reviewでは取り上げていないが、同作者の羊男氏が制作したPC-9801版の『Camel-Zoo』というアクションゲームがあり、『Check Bell』はそのグラフィックを利用して作られている。元々『Check Bell』はWindows用タイトルの制作練習のために開発されたものであったため、一からグラフィックを起こすよりも、まずは形としてまとめあげることが目的とされた。
『Camel-Zoo』は、ステージの外周に設置された砲台を操作して、ステージ上を徘徊する魔物を撃ち落とすという内容だったが、『Check Bell』では逆にその砲台に狙われる立場。『Camel-Zoo』をプレイした経験のある人間からすると、砲弾を浴びせられたあのときの魔物の気持ちがわかったような気がして、なんとも複雑な心境にならざるを得ないのではないだろうか。
そしてここで注目すべきは、同じ素材やフィールドを用いながらも、異なるルールを採用してまったく別のゲームに仕上げてみせている羊男氏の柔軟な発想力。素材が同じであったとしても、アイデア次第で個性溢れるゲームを生み出せるのだということも、当時のユーザーに知らしめてくれた。
WinGの登場により、Windowsのゲームに一筋の光明が差した1995年
MS-DOSに取って代わるOSとして、1993年にWindows3.1が登場。しかしながらグラフィックまわりの処理が非常に遅く、ビジネスユースとしては使えたものの、ゲーム用としてはまったく使い物にならなかった。当時発売されていたWindows用の市販ゲームを思い返してみても、静止画を切り替えたり、ムービーを流したりするようなものがほとんどであり、動きの激しいアクションものは皆無という状況。Bio_100%としてもそういった環境下では思うような作品は作れないと判断し、Windwos3.1の登場後もしばらくはMS-DOS用のゲームを作り続けている。
しかしこうした状況を打開するため、マイクロソフトは"WinG"という高速描画ライブラリを作成。これが1995年に出回り始めてからWindowsを取り巻くゲーム環境は徐々に改善されていき、Bio_100%もWindows用ゲームの開発に着手するようになっていった。この『Check Bell』も、WinGなくしては生まれなかった作品である。
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