アーケードライクな仕様で、純粋に走ることを楽しめる
スポーツカーを操作して、制限時間内に完走を目指す疑似3Dのドライビングゲーム。特に複雑な操作は必要とせず、ステアリングとアクセルとブレーキのみでひたすら突っ走るという明快なルールとなっている。
アーケード感覚でドライブを楽しめるコースが2種類用意されており、それぞれ4ステージで構成。1ステージをクリアーするには制限時間内に規定のルートを4周しなければならず、時間切れの場合はゲームオーバー。各ステージを個別にプレイできるTIME ATTACKモードも用意されているので、コースの下見に利用してもよし、最速タイムを目指してひたすら走り込んでもよしだ。
疑似3Dでありながらも、リアルな走りを追求したこだわりのある作品
疑似3Dのレースゲームというのは、スピード感は味わえるものの、走りのリアルさに関してはいまひとつというものが多い。アクセルベタ踏みでもきついコーナーを曲がれてしまったり、壁に激突させて車体の向きを変えたほうが速かったりと、やや理不尽さが目立つのが常だ。
だがこの作品では疑似3Dでありながらも、走りにおいてはリアルさを追求しようと試みている。もちろんアクセルを踏みっぱなしではコーナーを曲がれないし、よほど速度を落とさなければインベタでコーナーを抜けきることもできない。
走りの基本であるスローインファーストアウト、およびアウトインアウトのライン取りを実践してこそタイムを縮めることができるという、一本筋の通ったこだわりのある作りが特徴だ。それゆえに、ドライビングと爽快感の両面が楽しめる秀作になっていると言えよう。
滑らかな動きとそこから生まれるスピード感は、PC-9801の可能性を広げた
コースを彩るオブジェクト類が非常にシンプルなため、静止画にしてしまうとやや物寂しい感じになってしまうのだ
が、この作品の最大の売りはなんといってもPC-9801らしからぬ滑らかな動きにある。
アーケードゲームやコンシューマーゲーム機には専用の機能が搭載されているので滑らかで当たり前といった印象にもなるが、それをPC-9801上で、しかもそのどちらをも上回る程の美麗な動きで実現させているという点は、当時のユーザーを存分に驚かせてくれた。
PC-9801といえば市販ソフトでもシミュレーションやRPGなどが多く、動きの激しいアクションものはハード的に御法度といったイメージが強かっただけに、「ここまでできるものなのか」とグラフィック処理の技術の高さに感動させられたものである。しかもCONFIGモードで描画範囲やディテールの細かさ、視点の高さといったグラフィックまわりの調整ができるようになっており、設定次第では286などの遅いPC-9801でも、ある程度のパフォーマンスでプレイできるように設計されている。
技術的な部分を追求すると同時に、できるだけ多くの人が遊べるようにという配慮も欠かしていないところが、またBio_100%の素晴らしさだ。
ドライビングをさらに盛り上げてくれる、MIDI音源によるBGM
通常のプレイではBEEP音、FM音源ボードが搭載されていればSSGによるBGMが奏でられるようになっているが、なんといってもオススメなのはMIDI音源によるBGMだ。当時は専用のインターフェースボードを用意し、そこへさらにMIDI音源ユニットを接続しなければならず、環境を揃えるにはそれなりの出費を要したものだが、その価値は十分にあると思えるほど『POLESTAR』のBGMは素晴らしく、まるでアーケードゲームを自宅でプレイしているような贅沢な気分が味わえた。
作品の公開から10年以上が経った今、改めて耳にする機会に恵まれたわけだが、懐かしくもあり、それでいて新鮮さに溢れたノリのよい軽快なサウンドは、このまま埋もれさせておくにはもったいない。とはいえ、この時世にPC-9801とMIDI音源の環境を構築するのは逆に難しいものがあるので、願わくば多くの人が耳にできるような形で公開されることを望みたい。
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コメント(1)
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- as2:2010年10月11日 00:35
当時私が所有していたのはPC-9821マルチSE?だったかな。
CPUが386SX25MHzで周りの友人は486だったので、快適にPoleStarをプレイしていて悔しい思いをしたものです。FinaltyでMIDIで音楽を聴く為に、MIDI音源をバイトして購入し、PaleStarを快適にプレイするためにPCを買い替え…
今考えると、フリーソフトをプレイするためにいくら投資したんんだろうと怖くなります。ま、すべていい思い出です。