不思議空間をまったり移動しながら、ハートショットで敵を殲滅!
フワフワと慣性の働く空間の中で、そこに存在する敵をすべて殲滅すればステージクリアー。ただし1ステージはかなり広めになっている上、時間制限も設けられているため、あまりのんびりと浮遊しているわけにもいかない。
また全方向へスクロールするステージに対して、ショットは右方向にのみ撃てるようになっているので、敵に遭遇したら常に左側に回り込んでいく必要がある。それゆえ安全に攻撃できる機会をうかがいたいところだが、あまりもたついていると制限時間がどんどん減ってしまうというジレンマが生じ、プレイヤーを大いに悩ませてくれる。精神的に余裕を持って戦うためには、パワーアップアイテムでショットを強化し、さらにオプション猫で周囲を固めておくことが大切だ。
ステージは4面まで用意されており、4面をクリアーするとまた1面へ。といってもステージは毎回ランダムに作成されるため、常に新しいステージが続くと捉えても構わないだろう。ボスのような敵は存在しないが、次のステージへ進むとパワーアップした自機が初期状態に戻ってしまうため、再びジレンマと戦わなければならないというところが実質的には本当の敵なのかもしれない。
OSの移り変わりを踏まえて制作された、PC-9821専用タイトル
PC-9801用のゲームをリリースし続けてきたBio_100%であったが、1995年に公開されたこの作品はPC-9821専用となっている。OSがWindowsへと移り変わって行く中で登場したPC-9821というハードは、グラフィックまわりの性能が大幅に向上していたため、PC-9801では困難な処理も実現することが可能であり、もちろんそれはゲーム制作にもそのまま当てはまることであった。
従来のPC-9801は640ドット×400ライン&同時発色16色という表示能力だったが、PC-9821は640ドット×480ライン&同時発色256色という拡張表示能力を備えており、EGC(Enhanced Graphic Charger)の性能をさらに向上させたPEGCも搭載。『爆突TURB』でもこれらの性能を活用し、グラフィックは256色表示に。そして自機や敵キャラクターは滑らかなアニメーションで動き回り、ステージは二重スクロールを用いて奥行きを表現するなど、演出面の強化が著しい。
作者はドキュメントの中で、この作品に対して「実験台」という言葉を用いているが、PC-9821で果たしてどれだけのことができるのか、当時の我々に形としてきっちりと見せてくれたことが非常にありがたかったのを覚えている。ゲーム部分はやはり未完成という印象があるものの、将来的な可能性を示してくれたという意味で、『爆突TURB』の功績は大きいといえるだろう。
ガラリと変貌を遂げたドリームキャスト版
PC-9821版の『爆突TURB』は実験台に留まってしまったが、実は同名タイトルの作品が、ドリームキャスト版『戦国TURB』のファンディスクとして発売された、『戦国TURB FanFan I♥me Dunce-doublentendre』に収録されている。
こちらは3Dの任意縦スクロールとなっており、PC-9821版の面影はほとんど見られないのだが、時代の流れとドリームキャストというハードに則した正当な進化と言えるだろう。アナログスティックとデジタルパッドのどちらを使うかによってショットの性質が変化するという斬新なシステムも取り入れられ、本格的なシューティングとして生まれ変わっている。
その中であえてPC-9821版の面影を探すとするならば、救出した猫をオプションとして身に纏うことができるという点なのだが、PC-9821版がショットで援護してくれるのに対し、ドリームキャスト版ではボム代わりに突撃させるというなんともシュールな仕様に......。しかしながら随所に見られるこうした理不尽さこそ『TURB』シリーズに欠かせない要素であることは言わずもがな。細かいことは抜きにして、ゲームとして楽しければそれでよしというBio_100%の姿勢は、ドリームキャストに舞台を移してもそのままである。
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