ドライビングテクニックが要求される、ラジコン感覚の2Dレースゲーム
真上から見下ろすタイプの2D縦スクロールレースゲーム。車の操作はラジコン感覚で、進みたい方向にキーを入れるのではなく、車体をどちらに曲げたいかによって右か左かを入力する操作方法となっている。
コースは8種類用意されており、それぞれ2分という制限時間内にゴールできなければタイムオーバー。何度も走り込んでコースレイアウトをしっかりと記憶し、的確なマシンコントロールでタイムを削っていかなければならない。
リプレイデータを持ち寄れば、最大4台での間接的バトルが開幕!
自車以外の3台はすべてCPU側のコントロールとなるが、出走台数を減らすことも可能となっており、自車のみでストイックなタイムアタックに没頭してもオーケー。そして見事完走した暁にはリプレイデータが保存でき、そのデータを敵車の走りに反映させられるという点がこの『CarⅡGRANDPRIX』の最大の特徴ともいえるだろう。
自分の走りを敵車に読み込ませ、1対1の己との戦いに挑むもよし。さらに仲間どうしでリプレイデータを持ち寄って4台すべてに読み込ませれば、間接的にではあるが対戦レースも楽しめる。個々のリプレイデータをパソコン通信上でやりとりすることで、時と場所を選ばずに対戦気分が味わえるとあって、当時のネットワーカーでこのゲームにハマったという人はかなり多いはずだ。
ちなみに処理速度の遅いPC-9801の場合は、出走台数を減らすことで負荷を軽減させられるので、そういった場合にも台数調整は有効となっていた。
ゲーマーの心理をくすぐる絶妙なトラップ配置とコースレイアウト
8種類のコースは、どれも一筋縄では攻略できないほどトラップに満ちている。単純な障害物はもちろんのこと、荒れ地ではスピードが落ち、オイルを踏めばスピン。さらには車が横滑りするアイスバーンなど、様々な仕掛けがプレイヤーの心理を読んでいるかのような絶妙なポイントに配置されていて、それにいちいち引っかかっては苦笑いさせられてしまう。
これを克服するためにはコースを完璧に熟知し、ローギアとフルスロットルの2種類のギアを使いこなしながら、的確なマシンコントロールでトラップを回避していくしかない。
逆に言えば、そうしたテクニックを駆使しなければ好タイムを出せないようなコースレイアウトになっているということであり、そのあたりも用意周到で心憎いと言えよう。そしてこれは当時のゲーマーにしてみれば挑戦状を叩きつけられた気分であったのか、好タイムのリプレイデータが次々とネットにアップロードされ、電話回線を介して白熱した戦いが夜な夜な繰り広げられていた。
走り出したら止まらない中毒性、それは面白さの証明に他ならない
この作品が人気を博した理由をひとつあげるとすれば、それはレースゲームとして割り切った作りをしている点であろう。
通常、レース中に敵車に接触すれば弾かれるてしまうのが当たり前のように思えるが、そうしたリアルさを演出する要素は排除してあり、いかにうまくコースを走り抜け、いかにタイムを縮めていくかという一点にゲーム性を絞り込んでいる。敵車との接触は運にも左右されてしまいがちだが、そういった不確定要素に振り回されることなく、集中してベストラインをなぞれるかどうかが求められるわけで、いわば本当の実力勝負ができるところにプレイした者は惹きつけられたに違いない。
だからこそ自分が納得いくまで黙々と走り込んでしまい、その走りが他人に負けているとわかればまた延々と走り込みを続けてしまう。他人のせいにできないからこそどんどん深みにハマり、夜を明かしてコンマ数秒の壁に立ち向かった者たちは数知れず。ゲーマーにとってはある意味恐ろしいほどの中毒性を持っているが、それは同時に紛う方なき面白さの証明ともいえるだろう。
走行データをランキング化したり、オリジナルコースを作れる専用ツールもアリ
最後に、『CarⅡGRANDPRIX』用に別途配布されていた2本のツールについても触れておこう。
metys氏が作った『CarⅡGRANDPRIX 公式集計ツール&データ集』は、走行データを集計してランキング化することができ、さらに様々なプレイヤーの優秀な走行データが収録されているという便利ツール。他人とランキングを競えるのはゲームにおいて重要なファクターであるし、他人の走りを鑑賞し参考にできるのもコンマ数秒を争うハングリーゲーマーにとって非常にありがたい。
そしてもう1本、羊男氏の手による『CarⅡGRANDPRIX 専用コースエディタ』は、その名のとおり、プレイヤーが自らオリジナルコースを作成して走行できるというツールである。既存のコースを走り尽くした後にこういう楽しみ方が用意されているのは、まさに「至れり尽くせり」である。
1本のゲームにこういったツールを2本も配布し、楽しみ方をより深く模索できる状況を用意するのは、さすがBio_100%ならではの懲り方であり、心憎い演出であると唸らざるを得ない。
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コメント(3)
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- つもたろう:2009年4月 9日 22:16
「むぽっぷんと」みたいな名前のリプレイに結局一面たりとも勝てなかった…
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- sabu:2009年8月16日 18:22
始めてプレイさせていただいたゲームです、
父親のノートPC(たしかモノクロだった)に入っていて、
妹とひたすら対決していた覚えがあります。
なんか、黒い丸い玉、
やつ強かった…
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- mi:2010年9月 2日 11:15
私、平成元年生まれの人間ですが・・・。このゲームがきっかけでパソコンを知りました。
3歳~小学2年の頃にEPSONのPC-286UXでプレイしてました。
当時遊んでいたのはFM音源が鳴っていたのでまだバージョンアップの最中のものだったと思います。
スーパーファミコンのゲームよりも楽しくて、毎週末親に許可をもらっては遊んでいた事を思い出します。あと、アルファベットを覚えたのもこのゲームのおかげですね。
今では家にあった当時のパソコンも中古品として売られ、個性の欠片もないWindowsマシンに置き換えられてしまいました・・・。
遊んでいたゲームのフロッピーだけでもしっかりと保存しておくつもりです。このゲームのおかげで工学に興味を持ち始め、今は高専を卒業し国立大学に3年次編入し、研究者目指して頑張っています。
自分の進路を大きく決定づけたゲームだと思います。