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Finalty オーケストラレコーディング #2

レコーディングレポート 一日目

午前中のセッション開始。
STAGE3の「この腕の中で~」から始まる。
最初は初見で、一度スローテンポで全体を流す。
それで演奏者の方々は、大体のツボを掴める様だ。
指揮者からすぐに細かい指示があって、次にまた頭から始める。
二回目からはもうインテンポだ。この辺の適用力って凄いなと感心。
初見が終わると、僕はモニタールームの方で、演奏を聞きながらオケのスコアに目を通す。
少し走ったり、転んだりという事はプロでもあるのだなぁと思いつつ、その辺りを指摘する。
今回は、音大卒で現役のトロンボーン奏者であるチェコ語を話せる日本人の通訳さんがいたので、意思伝達に不足は無かった。
そして、テイクを重ねる毎に、演奏が締まって来る。
指摘した箇所を二度は間違えない。さすがだ。
後半の木管のソリも無難にこなし、何度か取り直して終了。

次は1面のボス曲。
これは初見をビデオで撮影していたら、音が半音おかしいところがあった。
すぐさまモニタールームへ戻って譜面を確認。
譜面は合っている。
どうやら、長年の演奏の経験から、♭がついている所を、同じ小節内の二回目はナチュラルがつくと思うらしいのだ。
それがピアノ奏者だけではなく、ベースの人など、合計三人くらいが同じ間違いをしていた。
ちょっと不思議だが、感心したり。
ボスの曲をオケで、というのも中々難しいものがあったが、かなり原曲の雰囲気は出ているのではないかな。

ステージスタートとSTAGE1の曲。
ベースの動きが、本物のE.Bassで弾くのはかなり難しいようだ。
本当は上に跳ねる音をチョッパーでやって欲しかったのだが、そうするとテンポが崩れるので難しい。
なので、とりあえず譜面通りに弾くことに集中してもらう。
原曲では、Chiorが入って、幻想的な雰囲気を出しているが、オケではその辺りの再現は難しい。
その代わり、と言ってはなんだが、最初は木管だけだったメロディーを弦にも振った。
実は、Finaltyは作曲の時から、あまり弦にメロを振っていない。
これは、ストリングス病と名づけているのだが、何でもかんでも弦に振れば、ゴージャスに聞こえるので、多用したくなってしまうのだ。
なので、弦をなるべく使わないようにしていたのだが、今回、編曲をしていて、せっかく生オケなのに、あまり弦にメロディーを振っていないなと思い、結構、最後の頃に弦に振った。
生弦でのメロはやはり素晴らしい。これは成功だった。

STAGE2の曲は、この曲のためにAltoSax奏者を呼んだのだが、かなり大人しい演奏となった。
もっといやらしくなどと注文もつけたのだけど、クラシック奏者にはいささか難しかったかもしれない。
ドラムパターンを原曲とは同じに出来ず、ちょっと雰囲気は違うが、なんとかまとまっただろうか。
それにしても、木管の鬼のようなアルペジオを平然と演奏してしまう技量には驚かされる。

2面のボスの曲。
トランペットの音が高すぎてうまく出ないと奏者と指揮者から相談を受ける。
譜面を確認したが、確かに高いかもしれない(Hi-D)。
これは、最終的にオーケストラの譜面を起こした編曲者は大丈夫と踏んだんだろう。
しかし、うまく出ないものは仕方がないので、すぐその場で解決策を考える。
大幅な変更は出来ないので、すぐに思いついたのは、その部分をクラリネットにやってもらうのはどうだろうかと。
クラリネットは自分が吹けるので、音の高さ的には問題ないのはすぐに分かったし、調性も同じB♭なので、その部分だけトランペットパートの譜面を吹けばよいのだ。
とりあえず、この部分はこれでGOサイン。
パーカス関係は、やはり原曲通りには中々いかず、タンバリンなどもアサインされていなくて、ちょっと雰囲気が違ってしまう。
しかし、原曲で音程をピッチベンダで変えている所が、かなり忠実に弦で実現され、これは成功だったなと思った。

午後のセッション。
STAGE 5。
この曲は、前作であるSuperDepthの宇宙面の曲である。
Finaltyは、ほとんどの曲をfinが作ったが、あと残り一曲作って~とfinに頼まれて、それならとこの曲を僕がオーケストラアレンジしたものだ。
オーケストレーションは、ほとんどそのまま用いられた。
そして、後半、SuperDepthの方にはあったソリを用意し、終了する前の動きもかっこよくなったと思う。
ただ、ソリのオブリガードが1ループ目からになっているのが、ちょっと勿体無い感じだ。

最終ボス。
パーカスの方、冒頭はハイハットとバスドラムでリズムを刻むはずだったが、ここでは奏者のアドリブにしている。
しかし、前奏が終わり、曲に入ってしまえば、オケの迫力が素晴らしい。
この曲も2面のボスと同じく、音程が連続的に変わる所があるが、これは完全には再現出来なかった。
それでも弦でグリッサンドをして、怪しい雰囲気は出ているだろうか。

その後も、大したトラブルもなく順調にテイクを重ね、今日の最後の曲である、ネーミングの曲へとたどり着く。
この時、altyがスタジオへ到着。
altyのお気に入りの曲なのでちょうどいいタイミングだった。
しかし、トランペットのソロ、若干音程が悪い。
その辺りを指摘すると、こちらの監督さんも当然分かっていて、何回かテイクを重ねたが、やはり音程が安定しないという事で、翌日にこのパートだけ録音し直す事になった。

そして、無事一日目が終わった。

▲チェコ国営テレビ局
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