Bio_100% members interview

INTERVIEW:nano-Ray-speX

『マン・レイが好き』って言っとけばいいや

無自覚に真理を突くセンスグラフィックやシナリオから覗かせる哲学

宇宙から来て体験した、ASCII-NETの居心地良い殺伐感 それがBio_100%のメンバーとの出会いにつながった

-まずご出身は?
nano-Ray:誕生は恵比寿です。それから南麻布に住んで、父親の転勤で…
-宇宙から来たんじゃないんですか?
nano-Ray:ち、地球も宇宙の一部ですから。
-なるほど。パソコン通信を始めた経緯というのは?
nano-Ray:宇宙から来てお世話になっていたところのPC-9801に素人でも使える通信ソフトがインストールしてありまして。それで通信してチャットでパソコンのシステムファイルのこととか教えてもらってたんです。Bio_100%の皆と知り合う前ですね、18歳くらい。IDは持ち主が好きに使わせてくれてたんですけど。
-「!J゚U」と「nanoray」、2つのハンドルネームについてお尋ねします。「!J゚U」のほうは、当時のペンネーム「能理子」から「nori」を180度逆さにしたと伺っているのですが、、「nanoray(なのれー)」という読み方のほうは……?
nano-Ray:「nanoray」の由来については諸説あるんですがマン・レイ(Man Ray)という芸術家がいるじゃないですか。若い頃Man Rayの仕事を見て先を越されたと思って中二病的に「マン・レイが好き」って言っとけばいいやっていう時期があって。違いのわかる子と思われたくて。本当の由来は違うんですけど訊かれたらMan Rayを持ち出しつつ「すごく小さい光」というような意味で「nano-Ray」であると。
-その後、Bio_100%に参加するようになったきっかけは?
nano-Ray:最初PC-VANのコミュニティに参加していたんですが、ASCII-NETはとんでもないところらしいという噂を聞いて、行ってみたのがきっかけです。ASCII-NETの殺伐とした感じが、とても自分に合っているなと思ったんです。それまでは挨拶ですとか、割と和気藹々とした雰囲気の中にいたのですが、ASCII-NETはいきなり言いたいことを各々の文脈で言い合う。混沌ではあるのですが無駄がないというか。2ちゃんねるのような雰囲気。
-そのASCII-NETで、Bio_100%のどなたかが、グラフィックやシナリオをやる人を探していたとか?
nano-Ray:求められてはいなかったと思います。私がネットに絵をアップロードしたり、ドット絵の編集ツールをダウンロードしてドット絵をコマアニメで描いて遊んでいたんですけど、最初とある生物が車に変身してまた戻るアニメを描いたんですよ。すると誰かがキー操作で変身したり戻ったりするファイルを作ってくれたんです。ゲームとしては羊男の完成しているゲームのグラフィックを入れ替えて、裏バージョンとして出してもらったのが最初だったと思います。
-なるほど、それがあの有名な『裏Dynamo』ですね。そうしてBioメンバーのみなさんとフリーゲームの制作に関わっていったと。
nano-Ray:あの有名な(笑)。
-元々、ゲームで遊ぶのはお好きだったんですか? 当時好きだったゲームがありましたら教えてください。
nano-Ray:昔、電子ゲームで『パーフェクトマージャンⅡ』というのがありまして。私は麻雀今も全然出来ないんですけど、その『パーフェクトマージャンⅡ』はボタンがたくさん並んでいて、麻雀の牌のデザインがとてつもなくミニマムでかっこよかったんです。このドットの配置で「発」に見せるんだーとか、鳥の表現にも感心したり。小学校か中学校か高校の頃か忘れてしまったんですけど、そのゲームはしつこくプレイしていました。周りはファミコンをやってたんですが、私はファミコンは大人になってからなんです。
-麻雀ができないのに、デザインのみに惹かれて電子ゲームを購入するというエピソードは面白いですね。では子供の頃は、コンシューマーゲームやPCゲームは触れずに?
nano-Ray:子供の頃ファミコンが出る前のテレビゲームは何故か持ってたんですけど少し成長してパソコンが欲しくなって買おうとしたら勉強の妨げになるって親が許してくれなかったんです。自分で色々物色してたんですけど。そのとき買おうとしていたのはFM-77AV?色数が一番出るとかって宣伝していて。
-確かにFM-77AVは、4096色が同時表示で使えて、色数がウリのPCでしたね。では、nanorayさんが最初に買ったPCというのは?
nano-Ray:最初はMacintoshⅡです。少し後にPC-9801を譲ってもらって。Bio_100%の人たちとゲームを作るうちに、9801のほうが使用頻度が高くなり、Macは殆ど使わなくなってしまったんです。16色より、256色のほうを持て余してしまったという。Macは爆弾出たらあきらめるしかないような雰囲気がありましたが9801は周りが詳しい人ばかりなので即解決しますし。

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コアなファンを引き寄せるnanorayワールド自信作『戦国TURB』は麻雀ゲームが発端?

-Bio_100%のゲームで、nanorayさんはグラフィックだけでなく、シナリオのほうも担当されていますよね。
nano-Ray:私のシナリオを採用してくれる人がいたというのが恐ろしいですね。やらせてくれた、というか(プログラムを)やってもらった感じでしょうか。
-『タ゛タ゛』や『TURB第1~3話』、『戦国TURB』では、nanorayワールド全開の独特の世界観を楽しませてもらいました。
nano-Ray:『タ゛タ゛』は羊男の『ある勇者の憂鬱』のテキストを入れ替えて……私の最初で最後のプログラミングです。大抵過去に書いた長文は恥ずかしくて読み返せないのですがPC版『戦国TURB』のシナリオは、色褪せません。DC版制作前に読み返した時感動しました。
-『戦国TURB』といえば、あの小さいキャラへのこだわりは、もしかして例の『パーフェクトマージャンⅡ』からきているわけですか?
nano-Ray:ミニマムですよね。16×16の中で動きも含めてどれだけ表現できるか、という。色数も制限があったんで、その中での階級の描き分けに凄くこだわっていました。フォントも頑張りましたし。
-『パーフェクトマージャンⅡ』がなかったら、ミニマムなものに惹かれるということも無かった可能性はありますか?
nano-Ray:それはわからないです。ライフゲームも好きなので。
-『戦国TURB』のあのキャラが、電子ゲーム……しかも麻雀からきていると考えると、かなり面白いですね。
nano-Ray:各ドットにこだわって作りましたから。もうあんなのは作れません。
-『戦国TURB』は、その後ドリームキャストにも移植されましたね。
nano-Ray:ドリームキャストの『戦国TURB』ファンの方々は、未だに私を「なのれー博士」って呼んで優しくしてくださるんですよ。当時、ダンボールに何箱も葉書やレターが届いていて。今でも戦国TURBの絵を雑誌やWebに投稿してくださる方がおられますし。元のデザインがシンプルなんで、描きやすいとかデフォルメしやすいとかあるんでしょうか。同人誌も送っていただきました。私の絵と違って凄く可愛いです。あ、私の絵は絶対的な可愛さですけど同人の方は相対的な可愛さ(笑)。
-あれだけ独自の世界観があるゲームもなかなか無いですから、それでハマる人も多いんでしょうね。熱心なファンを引き寄せるゲームというか。
nano-Ray:台詞を正確に覚えてくださってて、絵や漫画に使われてて。それを見てあーやっぱりいい台詞だなーって(笑)。
-nanorayさんの作るゲームの、あの独特の世界観は、フッとひらめいて出てくるものなんですか? それとも、考えて考えて出てくるものなんですか?
nano-Ray:その二択だったら、ひらめいてるほうだと思うんですけど、アーティストの方々のように、自分から表現したいことを積極的に出していく感じではないんです。私の場合まず「こういうことをやるから」「こういう仕様で」って最初に制限事項がないと、ぽかんとなってしまう。
-なるほど。最初に材料があって、それをどんどん肉付けして自分の世界にしていくような……?
nano-Ray:ゲームって昔は出来ることが凄く限られていてその中でどう工夫して表現していくかというのがあったと思うんですけど、何事にも制限があってやりたい事全ては出来ないじゃないですか。
で、自分が「こういうのをやりたい」というのはもちろんあるんですけど、まず「どういう器の中でやるのか」「出来ないこと、やっちゃいけないことは何か」っていうのを先に教えてもらって…。そこからの着手になります(笑)。
-Bio_100%のゲームの中で、nanorayさんが一番好きなゲームは?
nano-Ray:好きなのは自分が関わったゲームです。おすすめは『mogler』シリーズです。
-現在市販されているゲームで、好きなゲームはありますか?
nano-Ray:嫌なんですが面白かったのは『勇者のくせになまいきだ。』というPSPのゲームで、体験版をかなり遊びました。買ってからは全然遊ばなかったんですけど。ドットキャラがライフゲーム的な動きをするところが良かったです。それから未開封なのですが「ニッポンのあそこで」というゲームが面白そうです。
-nanorayさんは後に『たまごっち』の企画に関わられていますが、なるほど、そのあたりもライフゲーム好きなところが活かされているわけですね。
nano-Ray:あと『塊魂』! 指が痛くなって動かなくなるまでやりました。ポリゴンの粗い物体が物凄くたくさん出てくるのが良かったです。スケールも良かった。箱庭好きなんですよ。
-たくさん入っているBGMもかわいいですしね。
nano-Ray:あー、BGMは切ってやってました(笑)。そういう部分にファンが多いのは知ってるんですけど・・・歌詞に支配されちゃうんで。
-当時のBio_100%のゲームのBGMはどうだったんですか?
nano-Ray:全く気にしてなかったですね。

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【nanoray data】
●ハンドルネーム:
nanoray/!J゚U/nano-Ray-speX(なのれー/なのれーすぺくす)
●本名:黒柳陽子(くろやなぎようこ)
●生年月日:1968年10月24日
●出身地:東京都
●血液型:B型
●現在の職業:qnep Co.,Ltd. 取締役社長
●好きな当時のゲーム:
『ミネルバトンサーガ』
●一番好きなBio_100%のゲーム:
『mogler』シリーズ

絵を仕事に昇華させてくれたのがBio_100%作品を作り上げる喜びは何にも代え難い

-当時Bio_100%として活動していて、どういうところが楽しかったですか?
nano-Ray:みんなで騒いだりしたことかな・・・。作ったものを見せ合ったり、飲んで騒いで、ゲーセンへ……。
-Bioメンバーの中で、女性はnanorayさん1人だけですよね? 寂しさや、疎外感みたいなものはなかったんでしょうか?
nano-Ray:無いですけど、メンバーにフェミニストが一人も居ませんでしたね。
-Bioでの活動が、現在のnanorayさんに与えた影響というものはありますでしょうか?
nano-Ray:影響……。『たまごっち』の企画を出させていただいた会社に面接に行った時、Bio_100%の本を持っていったんですよ。それを社長が過大評価して採用してくださって。社長には謝りたいです。
-社長さんは、Bio_100%をご存知だったんですか?
nano-Ray:ご存じないので、過大評価につながったんです(笑)。その後もソニー・クリエイティブプロダクツさんでキャラクターのお仕事をさせていただいたり、ただ絵を描いて身勝手な文章を書いて文句ばっかり言っていただけの者を仕事として成り立つところにまで連れてってもらったというか……。絵もたいして描けないのでたまごっちは最初からドットを打って企画出しました。戦国TURBでは自分の名でゲームソフトを出させていただけたということ自体驚きです。
-今、お仕事以外で、nanorayさんが楽しんでいることは何ですか?
nano-Ray:映画や動画視聴です。それから世界を旅行。制作の喜びに比べたら何もかもずっと下ですけどね。用事がないと全く動かないんで。仕上がった時には、もう死んでもいいくらいの喜びを感じるんですが……。
-では、nanorayさんが今一番楽しいのは、作品を作っている時?
nano-Ray:作っている時も楽しいですけど完成時がピークになります。器は何でもいいんですけど私が自主的に選んだホログラムは凄く難しい器を選んじゃったなと言う感じで。それだけにやりがいもありますし器そのものが美しいので出来栄えは素晴らしいです。ただ、何の予定もなければ何もしませんので・・・
あとは寝ている時のパラレルワールドが最高です。
-だけど、コンペなどがあれば、きちんとそれに合わせて動くと?
nano-Ray:そ、そうですね・・・・・・・・・。
-他に、夢中になっている趣味はありますか?
nano-Ray:趣味という単語の位置付けが自分の中には無いですが、高速移動ですかねー。映画を見まくっているので見た映画の感想をブログに書いています。夢中なのはピアキャスト配信の永井浩二さんと弟さんで、テレビを見るくらいだったら永井兄弟配信を見ていたほうが楽しめます。
-テレビはあまり見ないんですか?
nano-Ray:かなり見てます。大抵は機械が自動で録画する番組を選んで見ますが生で見る時には必ず2ちゃんねるの実況とセットで見てます。
-今後、nanorayさんが具体的にやってみたいことがあれば教えて下さい。
nano-Ray:私は今までに様々なチャンスをいただいているんですが、若い頃はとんでもない対応をしてきたという事実に日を追う毎に苛まれていて、このインタビューをきっかけに皆さんに謝りたいです。若い頃は自信たっぷりなくせに何も出来てなかった。
今後やりたいのはホログラムの作品を発表することと、ゲーム制作とその映画化・・・映画はゲームしない人に見せる用でゲームはそれこそ夕゛夕゛のように既に出来てる器を使わせてもらって自分のシナリオとキャラクターと世界観に書き換えるようなこともやってみたいです。私家版DOLとか私家版ときめき○モリアルみたいなのも面白いかなと…
-最後に、nanorayさんにとって、Bio_100%とは何ですか?
nano-Ray:metysのように何かかっこいい集団に例えるんだったら私ならレジデンツとかモンティパイソンなんですけど、それは願望としても距離が遠すぎて恐れ多くて言えないですね。「サークル」です。
-サークルというのも、素敵な回答だと思います。Bio本1つ読んでも、みなさん、すごく楽しんでやられている感じが出ていました。
nano-Ray:当時は、なんであんなにテンションが高かったんでしょうねー。若いって恐ろしいですね。あの頃から扱いが悪いとかブーブー言ってて。扱いが悪いっていうのはBio本ではなく、世の中のすべてにですよ?当たり前のことなのに「評価されてない」だとか、そういう不満ばかり言ってました。30歳くらいまでずっと文句ばかり言ってて、ようやく最近「場を与えれらているのにとんでもないな」って気付いたんです。

(収録日:2008/5/22)

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